姑によるイジメで離婚

姑によるイジメで離婚 

 
 離婚を対象とした法律相談を6年間行ってます。今回は離婚の原因の中でも、3番目に多い姑との不仲での、離婚後の法律の関わりを紹介していきます。
 例えば実例を出しましょう。離婚の際の慰謝料について伺います。
 Aさんは、5年前に結婚したのですが、嫁ぎ先とうまくいっていないらしく、離婚したいと言い出しています。娘の夫は、やることなすこと同居のお姑さんの言いなりで、まるで頼りになりません。そしてお姑さんは2才になる子供のしつけや、料理、掃除など、あらゆることに口うるさく、何かミスを見つけると、娘に罵詈雑言を浴びせるそうなのです。このままではAさんにとって不健康なので、、B弁護士も離婚した方がいいと思いました。そして、Aさんは精神的な痛手に対して、先方から、慰謝料もとりたいと思っています。そしてその慰謝料は、娘の夫ではなく、離婚の原因となった相手のお姑さんに払わせたいそうです。
そこでAさんからの相談なのですが、離婚の際の慰謝料は、相手の姑さんなどにも講求できるのでしょうか。またその際には、姑さんにいじめられた証拠なども必要なのでしょうかということです。
 
 では、 実例を元にした回答です。4段階に分けて解説します。
 1.Aさんと姑のトラブルを法律に従い解決することは、非常に困難です。ご相談の件でも、より具体的な事情を踏まえなければ正確な解答を出せないというのが正直なところです。
  2.まず、姑の嫁いじめがそもそも離婚原因にあたるかという問題から考えていきましょう。そもそも夫婦というものは、相互に愛情を持って接し、妻が姑との間で困難か立場に置かれているときには、夫が間に入って関係修復に務める義務を負っているというべきです。例えば、判例では、次のように指摘しているものがあります。妻が新婚で家事等に慣れず行き届かないために姑に辛く当たられていた事例で、裁判所は、「未だ主婦としての生活になれない若年の婦女がとにかく家政の処理に敏活を欠き家庭内を混乱に陥れることのあるのは、夫たるもの当然予期すべきである」そして、夫には、「新たに家に入って家風習慣等につき未だなじまず生家のそれと著しく異なるために挙措当を失して兎に角夫の両親と和合を欠き、ふてくされ的若しくは反感的挙動に出て相互に反目離反する新婦に対し、いまだ十分に修養を積まない若年の婦女であることを考慮しつつ夫たる愛情からほとばしる適切な忠告をなし、その誤解を解き近親者が相協和しうるような新家庭を協力して建設すると共に他面これを愛撫し、破綻することを避けるよう努めると同時に舅姑に接すべき途を工夫してそのところを得しめ共々一家の和楽繁栄を図るべき当然の義務がある」としています(東京地裁昭和34年2月4日判決)。
そして、夫が、妻の姑からの過度の侮辱などによる不和を仲裁し、関係修復に努めずその場しのぎで逃げ回っている場合で、そのことが原因で夫婦関係が冷え切っている場合には、婚姻を継続しがたい重大な事由あるとして離婚が認められた裁判例もあります。
  3.では、次にこのように姑の「いじめ」で婚姻関係が破綻した場合に、姑に慰謝料を請求できるでしょうか。慰謝料とは、相手方の不法行為により精神的損害を被った場合に認められるものです。従って、姑の「いじめ」が不法行為に該当すると認められれば、慰謝料請求も可能です。
例えば、少し古い判例ですが、姑が自分の和裁の内職を嫁に手伝わせながら「こののろま」と罵り、嫁が寸法を間違えると縫い物を取り上げて叩き付けたりして激しく叱責し、食卓で茶碗と汁椀の置き方を取り違えると「左膳だ」「村会議員の子供だというのに無教育も甚だしい」と叱りつけ、更に些細なことでつむじを曲げてAさんから炊事仕事を取り上げて、しかも嫁がこれを黙って見ていると「図々しい」と言わんばかりの態度を示し、また、嫁が姑に買ってきた菓子を物差しで弾くなどして嫁にしばしば辛くあたってきたことなど捉えて嫁の姑に対する慰謝料請求を認めたものがあります。尚、右の判例では、夫も姑に同調して、「和裁や洋裁ができると思って嫁にもらったのに随分下手だ」と言ったり、「母親に選択をさせるとは世間に対して恥ずかしい」と非難したり、「おまえはつとまらないから実家に帰って相談してこい」あるいは「おまえはよく叱られる女だ。母親を馬鹿にするのもいい加減にせよ」などといったりしていた態度をとらえ、夫に対しても、姑と同じように妻に対して侮辱的態度を示したものとして同じく慰謝料を払うように命じられています(東京地裁昭和37年4月3日判決)。
 このように一定限度を超えて侮辱的な行為などがあった場合には、慰謝料請求が認められるといえるでしょう。
  4.また、訴訟で慰謝料請求を行う際には、当然証拠などが必要となりますが、主として当事者及び関係者の証言が証拠となるでしょう。
 
 実際は証拠の提示できないケースがほとんどです。いざとなれば、裁判沙汰になることを予測して、録音・撮影していたなんてケースは本当にごくわずかです。
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