協議離婚の弁護士費用の相場

協議離婚の弁護士費用の相場

 

以前は、弁護士が所属する弁護士会において報酬規程が存在し、それに基づいて弁護士費用を算出する必要がありましたが、現在は、その規程が廃止され、弁護士それぞれが自由に価格を設定してもよいことになっています。

もっとも、いろいろな法律事務所のホームページを見ますと、多くの弁護士は、現在も、以前の報酬規程を目安に弁護士費用を設定していることが分かります。

そこで、ここでは、かつての報酬規程の内容を基に、弁護士費用のおおよその相場をご説明いたします。

 

1.まず、離婚の交渉または調停の代理人を依頼する場合、報酬規程では着手金・報酬金はそれぞれ20~50万円とされていました。他方、離婚訴訟を依頼する場合、報酬規程では着手金・報酬金はそれぞれ30~60万円とされていました。

ただし、交渉を依頼していた弁護士に引き続き調停の代理人も依頼する場合は10~25万円、調停を依頼していた弁護士に引き続き訴訟の代理人を依頼する場合は15~30万円の追加着手金がそれぞれ必要とされていました。

  以上より、報酬規程における離婚事件の弁護士費用は以下のようになっていました(単位:万円)。

  ① 交渉の代理人を依頼し、交渉で離婚が成立した場合

    着手金20~50+報酬20~50=合計40~100

  ② 交渉の代理人を依頼し、調停で離婚が成立した場合

    着手金20~50+追加着手金10~25+報酬20~50=合計50~125

  ③ 交渉の代理人を依頼し、訴訟で離婚が成立した場合

    着手金20~50+追加着手金10~25+追加着手金15~30

+報酬30~60=合計75~165

  ④ 調停の代理人を依頼し、調停で離婚が成立した場合

    着手金20~50+報酬20~50=合計40~100

  ⑤ 調停の代理人を依頼し、訴訟で離婚が成立した場合

    着手金20~50+追加着手金15~30+報酬30~60=合計65~140

  ⑥ 訴訟の代理人を依頼し、訴訟で離婚が成立した場合

    着手金30~60+報酬30~60=60~120

2.離婚に加えて財産分与や養育費が問題になる場合、報酬規程上は、上記の金額に加え、請求額に応じた一定の金額が着手金・報酬金に加算されることになっていました。たとえば、離婚とともに慰謝料300万円の支払いをもとめ、これが全額認められた場合は、その8%に相当する24万円が上記着手金・報酬それぞれに加算されることになっていました。

3.現在の弁護士の着手金・報酬も、上記の範囲内に定められていることが多いといえます。

  ただし、相場の範囲内でも、弁護士によって高低が見られます。また、着手金を比較的安く設定し、報酬を高めに設定するケースや、逆に着手金を比較的高く設定し、報酬を安く設定するといったケースも見られます。さらに、支払い方法について、分割払いに積極的に応じる弁護士もいれば、一括払いに限定する弁護士もいます。

4.弁護士費用は、最終的には、依頼者と弁護士との1対1の契約によって決まります。そのため、弁護士に依頼する際には、契約を行う前に、法律事務所のホームページを調査したり、弁護士に直接説明を求めるなどして、費用の内容を明確にすることが大事です。

  弁護士に説明を求めるのを遠慮する必要はありません。少しでも疑問点があれば、契約までに弁護士にどんどん説明を求めるべきだと思います。

弁護士費用の種類

 

一般的に、弁護士に支払う費用には、「着手金」「報酬」の他にも「手数料」「法律相談料」「顧問料」「日当」「実費」などがあります。事件の内容(当事者間の争いの有無や難易度の違い)によって、それらの金額は異なってきます。弁護士に依頼するときには、総額でどの程度の費用が必要になるのか、よく確認するようにしてください。なお、裁判所へ納める費用や交通費などの実費も別途必要になりますので、ご注意ください。

以下、弁護士に支払う費用の内容についてご説明します。

 

着手金

 

着手金は弁護士に事件を依頼した段階で支払うもので、事件の結果に関係なく、返還されることはありません。着手金は次に説明する報酬金の内金でも、いわゆる手付でもありませんのでご注意ください。

 

報酬金

 

報酬金というのは依頼した事件について、結果が出た場合、事件終了の段階で支払うものです。どのような結果が出た場合に、どの程度の報酬金が発生するのか、あるいは発生しないのか、弁護士に依頼する前にきちんと確認をしておいた方がいいと思います。

 

 実費、日当

 

実費は文字どおり事件処理のため実際に出費されるもので、裁判を起こす場合でいえば、裁判所に納める印紙代と予納郵券(切手)代、記録謄写費用、事件によっては保証金、鑑定料などがかかります。また、移動を要する事件については交通費、宿泊費がかかります。場合によっては日当もかかります。

 

手数料

 

手数料は、当事者間に実質的に争いのないケースで事務的な手続を依頼する場合に支払います。手数料を支払う場合としては書類(契約書、遺言、離婚協議書など)作成、遺言執行などがあります。

 

 

法律相談料

 

弁護士が依頼者に対して行う法律相談の費用です。30分5000円程度が相場です。

 

 顧問料

 

企業や個人と顧問契約を締結し、その契約に基づき継続的に行う一定の法律事務に対して支払われるものです。1ヶ月あたり1~5万円程度が相場です。

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