養育費とは

養育費とは

養育費の請求手続(取り決めの時期と方法)
1. 話し合いで決める
2. 家庭裁判所の調停や審判などで決める
3. 家庭裁判所の裁判で決める
4. 離婚後の養育費の請求
5. 事情の変更があった場合の養育費の金額の変更
 
養育費の算定
1. 養育費算定表の使い方
2. 養育費算定表の使用上の留意点
 
養育費の確保(養育費の支払いが滞ったとき)
1. 口約束や「一筆」をしたためて貰った場合
2. 家庭裁判所で決まっている場合
3. 強制執行の場合
 
養育費とは、子どもを監護・教育するために必要な費用です。 一般的にいえば、未成熟子(経済的・社会的に自立していない子)が自立するまで要する費用で、衣食住に必要な経費、教育費、医療費などです。
 
未成熟の子どもに対する養育費の支払義務(扶養義務)は、親の生活に余力がなくても自分と同じ生活を保障するという強い義務(生活保持義務)だとされています。 自己破産した場合でも、子どもの養育費の負担義務はなくなりません。
 
法律では民法766条1項で、離婚後の子の監護に関する事項として規定されており、また、 平成15年4月に母子及び寡婦福祉法において扶養義務の履行が規定され、養育費支払いの責務等が明記されています。
 
この世に生を受けた子どもに親としてその生活を保障し、心の成長を支えることは、当然の責任です。 養育費の支払いは、親として子に対する最低の義務であり、別れて暮らす親と子を結ぶ絆であり、親子である証になるものです。
離婚時に決めるのがベストです。
 
養育費は、子どもに必要がある限り、何時でも、請求できます。 が、離婚時に「要らない」などと言ってしまった場合など、相手が養育費を支払わない形で生活設計を していることも多く、その後の請求の時には、取り決めが難航することもあります。
養育費の請求権は、子どものためのものです。子どもと別れて暮らす親との関係を大事にするためにも、 離婚時にきちんと取り決めましょう。
 
A. 話し合いで決める
話し合いで納得いく結論に至るのがベストです。
離婚するとき、親権者を決めるのと平行して、金額、支払時期、支払期間、支払い方法など細かい点まで煮詰める必要があります。
結果は、口約束だけでなく、書面にしましょう。
費用や手間はかかりますが、公証役場で、公正証書にするのが望ましいでしょう。公正証書にしておくと、万一、不払いになっても、強制執行(差し押さえ)ができるのです。
 
B. 家庭裁判所の調停や審判などで決める
未成年の子どものある夫婦の離婚調停では、養育費の取り決めをするのが普通です。 また、離婚届を出してからでも、養育費請求の申し立てをすることもできます。
調停での話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所では審判で養育費を決めます。
家庭裁判所の調停や審判で決まれば執行力のある債務名義と同じような効果があるので、いざというときには、強制執行(差押え)もできます。
 
C. 家庭裁判所の裁判で決める
離婚を求める訴訟で、離婚と同時に養育費について、判決で決めてもらうこともできます。
 
D. 離婚後の養育費の請求
養育費は、離婚時に決めていなくても、子どもの必要や親の支払い能力に応じ、いつでも、請求できます。
離婚時に「養育費は一切要らない」と言って離婚した場合でも事情が変わって養育費を請求しなければならないこともあります。 予定した親からの援助がなくなり、子どもの病気や学費負担増のために養育費が必要になることも少なくありませんが、 別れて暮らす親が離婚時の口約束を盾にとって容易には応じてくれないこともあります。
 
そのような場合、話し合いが難しければ、家庭裁判所の調停、審判を利用することができます。
しかし、別れて暮らす親は、一旦要らないといわれて新しい生活が始まっていれば、義務があるをわかっていても、 その気持ちになれず、決めても支払いが持続しないことも少なくありません。
養育費は、子どもの権利であることを肝に銘じて、離婚時にしっかり決めておくようにしたいものです。
 
E. 事情の変更があった場合の養育費の金額の変更
養育費は、長い年月継続するものです。その間、生活状況が大きく変化し、以前に決めた養育費が実情に合わなくなることもあるでしょう。
一緒に暮らす親にすれば、子どもの成長や病気など監護費用が増大することもあるでしょう。 また、別れて暮らす親からすれば、再婚して扶養家族が増えた場合や転職により、減収となる場合もあるでしょう。
そういう場合、増額や減額の話し合いができなければ、養育費額の変更について、家庭裁判所の調停・審判を申し立てることができます。
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