一度決めた生活費の増減は可能か

一度決めた生活費の増減は可能か

夫婦が別居するにあたって、あらかじめ契約書や公正証書等により具体的な婚姻費用の分担の合意をしておく場合があります。このような合意はもちろん有効です。もっとも、勤めていた会社が倒産したり、生活環境が著しく変わってしまった等、様々な事情の変更により生活費の増額や減額が必要となる場合も考えられます。そのような場合には、その旨の調停を求めることは可能です。
 
養育費を増額させる事情としては、義務者(子どもを監護していない方の親)の収入増加、権利者(子どもを監護している親)の収入減少が挙げられます。
 養育費を減少させる事情としては、義務者の収入減少、権利者の収入増加、義務者の再婚、義務者の再婚相手の出産、義務者が再婚相手の子どもと養子縁組を結んだ場合、権利者が再婚し再婚相手と子どもが養子縁組を結んだ場合等が挙げられます。
 
 このような事情が生じた場合、相手が任意に養育費の増減額に応じてくれればよいですが、応じてくれないことも十分予想されます。その場合には、家庭裁判所に養育費の増減額を求めて調停を提起することが可能です。調停で話し合いがまとまらない場合には、自動的に審判という手続きに移行し、最終的には審判官(裁判官のことです)に金額を決めてもらうことになります。
 
 
 

養育費の減額や免除を申し入れる

離婚の時に決めた養育費は、子どもの衣食住に充てられるお金で、子供が18歳から20歳の年齢まで子どもを育てている側に支払われます。
金額については、子どもを引き取る側の経済状況や養育費を支払う側の収入等のすべてを考慮した上で、ある程度の金額を決めます。
その他にも子どもの成長過程を予測したり、離婚前の生活状態を崩さないためには、どのくらいの金額が必要なのかを考えた上で、明確な金額がはじき出されます。
離婚前に決めた養育費は、その後見直す事はできないのかというとそうではありません。
 
子どもを引き取った側や養育費の支払いをしている側の諸事情により、金額の変更は可能です。
 

養育費の増減が可能な諸事情とは

一度取り決めた養育費の金額や支払い方法、その他支払いの期間については、その後見直しができないというわけではありません。
元夫や元妻の家庭環境やその他の都合によっては、金額の増減の見直が認められています。
ただし、すべての要求が通るとはかぎりませんので、どのような事情の場合に、養育費の変更が可能かを理解しておきましょう。
最も多いと言われている養育費の増減理由の一つに、「再婚」という状況の変化があります。
 
離婚後、それぞれの道を歩く事を決意した二人は、新しいパートナーを見つける事ができます。
つまり元夫も元妻も再婚という選択肢が与えられています。
 
例えば、養育費を元妻に支払い続けている父親が、再婚した場合を考えてみましょう。
父親が再婚相手との間に子供ができた場合、父親は離婚した妻との間にある子ども以外に扶養義務のある家族が、新しく増える事になります。
となると両方の家庭を支えるというのは、金銭的に難しくなります。
このような状況になった場合に、元妻に対し、養育費の減額を求める事が認められているのです。
 
逆に養育費を受け取っている元妻が再婚するケースも十分考えられます。
ただ、女性の場合、再婚相手と子供が養子縁組をしなかったり、再婚相手が経済的に窮地の場合には、養育費の減額が認められない事がありますので、これまでと同様に養育費を支払わなければなりません。
 
再婚相手と子供が養子縁組をした場合には、再婚相手の男性が、子どもの第一扶養義務となり、実父は第二扶養義務者となりますので、その場合は養育費の免税や減額の申立が認められるでしょう。
 
その他にも元妻が再婚したのをキッカケに養育費の支払いを免れたとしても、元妻が再び離婚という状況になった場合には、これまでどおり養育費の支払いがスタートします。
 

公正証書を作成し養育費の不払いを避ける

子どもの安定した生活を確保するために、どうしても必要は養育費の不払い問題は、非常に多く、支払いが滞っているというケースは全体の8割以上にものぼっていると言われています。
 
未払い養育費を確実に受取るためには、公正証書の作成が必須となります。
公正証書の最大の特徴は、法的な効力があり、万が一の場合には、強制執行ができるという事です。
 
更に2005年の法改正後には、これまで以上に効力が強くなっていますので、養育費を確実に得るためにも離婚協議書だけでなく、公正証書も作成するようにしましょう。
 
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