夫が破産した場合でも生活費は貰えるのか
夫が破産した場合でも生活費は貰えるのか
破産をすると原則債務の支払いを免れる
破産手続きにおいて免責決定(債務の支払いをしなくていいとされること。)が出されると,原則として,債務の支払を免れることになります。家を所有している場合には,家が売却されるなどの事態は生じますが,実質的にはほとんど変わらない生活を送ることができます。
例外事由にあたる場合
原則として,ということは例外があります。例外事由にあたれば,全額支払いを求めることができます。
不貞行為と関係しそうな免責の例外として
・破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損賠賠償請求権(破産法253条1項2号)
・破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(同条項3号)
があります。
では,この2つに当たるのでしょうか。
「悪意で加えた」といえるか?
おいおい,夫(妻)がいること分かって不倫してるんだから「悪意」ありだろ!!と普通思いますよね。
でも,ここの「悪意」とは,一般に,「積極的な加害の意図・意欲」と解釈されています。
不倫の場合だと,「夫がいることを知っていた」ことでは足りず,不倫が「夫(妻)への直接的加害行為」といえるような場合,「悪意」があるということになります。
実際の裁判例(東京地裁平成15年7月31日)をみてみましょう。
この裁判例では,約5年間不倫関係を継続し,不倫の当事者間で結婚式を挙げたという事情がある場合でも,「不法行為としての悪質性は大きいといえなくない」としながら,直接的加害行為があったとはいえないとして,「悪意」なし,としています。
この裁判例を前提にすると,直接的加害行為ってなんでしょうね?
不倫することで,夫(妻)へ嫌がらせをしようとする場合とかでしょうか。
不貞行為が「人の生命又は身体を害する不法行為」といえるか?
これも裁判例(平成21年6月3日)を参考にしてみましょう。
ここでは,「不貞行為は」「それがたとえ悪意又は重大な過失」の場合であったとしても,「人の生命又は身体を害する不法行為」とはいえない。としています。
特に理由は述べられていませんが,不貞行為は,人の気持を傷つけるものであって,生命・身体を攻撃するようなものではない,ということにあるのではないでしょうか。
結論 例外事由にあたる余地はあるが,それは多くはない。
残念ながら,現在の法律は,不貞行為をされた夫(妻)を保護することよりも,破産者が新しい生活を送れるようにすることの方が重きを置いているようです。
夫が自己破産するのであれば夫名義の預金口座2年分がピー分、弁護士依頼が来ます。
妻名義の口座は原則調査対象ではないですが、給与振込などがありまとコピーを取られます。
裁判所は直接関係ないですので全国のあらゆる銀行へ妻名義の口座の有無等、調査依頼はしません。
原則自己破産した本人の名義のものです。車、その他等です。
補足 : (夫の収入のみで生活し、妻の収入は全て貯金していても、出さなくて良いのですね?)
そのようになります。
妻名義の口座は関係ありませんので安心してください。
何の為に夫の口座を調べるか?
生活費にどのくらい掛かっているか、一部の債権者に支払ってないか等「支払っていますと免責不許可理由になる可能性があります」を調べたりするので家計の収支の書類を作成する為に口座が必要になるのです。
すべて弁護士が文書を作成確認して裁判所に提出します。
夫にとっても、妻にとっても、
定年後の生活費の確保は重要です。
夫婦一緒でも年金で暮らすのは厳しい時代です。
ましてや別居した場合の生活は、
極めて厳しいものが予想されます。
特に専業主婦の場合、自分自身の厚生年金はありません。
家を出た妻に自分から生活費を渡そうとする夫はいませんから、
別居しても生活費が確保できなければ離婚訴訟を起こすどころではありません。
生活費をどう確保するかは、
離婚したい熟年妻にとって、離婚以上に重大な問題なのです。
離婚するにあたって当面、必要になるお金の額としては、
まず協議離婚の際の弁護士費用に約50万円。
それから、1年分の家賃と、半年分の生活費を合わせた額は用意しておきたいものです。
「とてもそんな大金は用意できない・・・」という場合は、役所に相談してください。
母子家庭には、無料で入居できる、母子生活支援施設を紹介してくれます。