財産分与と慰謝料
離婚をするにあたっては、夫との間で財産分与の内容や金額を決める必要があります。また、場合によっては、夫から慰謝料の支払いを受けることができます。
女性にとって、財産分与や慰謝料として取得した金銭やその他の資産は、離婚後の新たな生活の立ち上げのための費用(転居する場合の引越代や家具の購入費用等)や、離婚後の生活費の原資にすることができます。また、女性が離婚後の子どもの親権を取得した場合には、子どもが病気をしたときなどに必要な医療費や、子どもが高校・大学等に進学したときの教育費等にあてるために貯蓄しておくこともできます。そのため、離婚にあたって女性が財産分与や慰謝料の支払いを受けることができる事案では、離婚後の女性の生活設計をより明確に描くことができ、生活を維持することがより容易になります。
・財産分与をより確実に受けるためには
では、どうすれば、より確実に財産分与を受けることができるでしょうか。
まず、夫名義の財産にはどんなものがあるか、きっちり調査・把握することが必要です。
調査すべき財産としては、預貯金・株式等の有価証券・ゴルフ会員権・生命保険・不動産・自動車・貸付金・退職金などがあります。それぞれの財産の内容は、通帳、証券会社発行の書類、会員証、保険証券、登記簿、車検証、契約書などの書類を確認して把握しましょう。離婚の話し合いが始まると、夫にこれら書類を隠されてしまったり、財産の存在を否定されてしまう可能性もありますので、上記書面の内容はできるだけ早くコピーをとるなどして、後に協議における参考資料あるいは証拠として利用できるよう確保する必要があります。また、上記の書類以外にも、何らかの財産があることがうかがわれる書類が見つかった場合は、何でも手元に残しておきましょう。また、ローンを組んで購入したもので、現在もローン残高があるもの(例.自宅不動産、自動車)については、ローンの残高と、そのローンの債務者・保証人等が誰になっているかも確認しましょう。
・慰謝料をより確実に取得するためには
慰謝料の支払いをより確実に受けるためには、離婚の原因を夫が作ったことを示す証拠をできる限り多く集め、それを夫に示しつつ、協議・調停において粘り強く支払いを求めていくことが必要です。具体的には、夫の浮気の事実を示すメールの文面や、夫の暴力の証拠となる診断書、あるいは第三者の目撃証言や興信所の調査報告書などを確保する必要があります。
また、夫の浮気などの事実が明らかでない場合であっても、夫婦の離婚協議の結果、解決金の名目で一定の金銭が女性に支払われることも多いので、あきらめる必要はありません。この場合は、まずは夫に対して、自分と子どもの生活を維持するためにお金が必要であること、養育費等を除けば、自分に十分な収入・資産がないことを訴え、夫の理解を得る努力をする必要があります。場合によっては、夫の譲歩を引き出すために、離婚協議の過程において、離婚条件に関する譲歩を行うことが必要となる場合もあります。
・弁護士にご相談を!
ここまでに記した資料等をそろえた上で、夫と財産分与や慰謝料の支払いについて話し合いを行いましょう。ただし、資料等をそろえても、財産分与の対象財産があるのか、あるいは慰謝料を請求することが可能なのかはっきりしない場合は、ぜひお気軽に当事務所の弁護士にご相談ください。資料の内容を確認し、財産分与・慰謝料はいくらが妥当な事案であるのか、財産分与・慰謝料の支払いを少しでも多く受けるためにどのような戦略で交渉を行えばいいのか、できるだけ丁寧にアドバイスをさせていただきます。
また、夫と協議や調停を進めても合意に達しない場合、訴訟を提起することを検討する必要があります。ただし、訴訟は証拠がどれだけそろっているかにより結論が大きく異なってしまいます。また、どのような理屈で主張を展開するかということも慎重に検討しなければいけません。訴訟提起を検討される場合も、お気軽に当事務所の弁護士にご相談ください。