離婚前に準備すること4選
このページを読むのにかかる時間 < 1 分離婚を考えるにあたって、離婚前に準備しておくべきことがあります。
今回は、そのうち特に重要な4つの項目について説明します。
具体的には、①住居の決定、②収支の確認、③財産の把握、④証拠の収集です。以下で詳しく説明していきます。
1.住居の決定(主に別居開始する場合)
(1)住居の事前確保
別居を開始する場合は、住居を事前に確保することが非常に重要です。別居を開始するために自宅を出たものの、別居後の住居がないという事態は避けなければなりません。
実家に居住するのか、賃貸物件に住むのか等を検討し、事前に住居を確保してください。また、引越しをする場合は、引越し費用も確保しておく必要があります。
(2)お子さんがいる場合の転居
お子さんがいる場合の転居は特に慎重に検討する必要があります。
別居に伴ってお子さんが転園や転校をする必要がある場合は、事前に手続が必要です。この手続のために一定の時間が必要となる場合がありますので、ある程度時間的余裕をもって準備を進めるようにしましょう。
逆に、別居に伴う転園や転校を避けたい場合は、同じ学区内など限られたエリアから転居先を選ぶ必要があります。
あるいは、お子さんの保育園卒園や小学校卒業を待って転居を行うなど、転居のタイミングをお子さんに合わせて調整することも必要となってきます。いずれにしても、計画的に準備を進める必要があります。
2.収支の確認
離婚にあたって何より大切なことは、離婚することによって離婚前よりも「幸せ」と感じられるようになることです。
当然のことながら、離婚自体が成立すればそれですべてが解決するということではないのです。そこで、離婚に踏み切る前に、離婚をしたとしてその後の生活が成り立つかという点を慎重に検討する必要があります。
「勇気をもって離婚に踏み切り、結果として離婚はできたけれども、その後路頭に迷うことになった」という事態は避けなければいけません。具体的には、離婚後の生活における収支を想定し、その内容の確認・検証を事前に行っておく必要があります。
まず、離婚後の自分や子どもの生活費として、毎月どれくらいの支出が生じるのかを想定し、切り詰められるところがないか検討する必要があります。
そのうえで、最低限必要な支出をカバーできる程度の収入を離婚後に得られるのか確認してください。具体的には、自分の給与収入や相手からの養育費等がどの程度の金額となるか、および、母子手当等の公的扶助は受けられるか、受けられるとしてそれはどれぐらいの金額となるか、といった点を確認・検討する必要があります。
その結果、毎月の収入が足りないという場合は自分の収入を上げる努力が必要です。たとえば、専業主婦の方であれば就職をする、パートやアルバイト勤務の方であれば正社員になることを目指して転職活動やスキルアップの準備を行うといったことが考えられます。
3.財産の把握
離婚時に相手方からまとまった財産の支払いを受けるためには、財産分与か慰謝料の支払いを相手に求める必要があります。
ただ日本では、不貞行為を行うなど相手に非があったとしても、離婚に伴う慰謝料の金額はなかなか高額にならない傾向にあります。そこで、十分に戦略を練った上で財産分与の主張・交渉を適切に行うことが重要になります。
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して作り上げた財産を清算のために折半する手続ですので、まず夫婦の財産の内訳・金額等をできる限り正確に把握する必要があります。
ただ、自分名義の財産を把握することは比較的容易でしょうが、相手名義の財産は積極的・意識的に資料を収集しないと把握できないことが多いのではないでしょうか(協議の段階のみならず、調停や訴訟の段階に至っても、相手が財産資料の開示に応じてくれないということもよくあります)。
そのため、同居中の時点から、相手名義の預金通帳や保険証券、あるいは証券会社等が相手宛に発行した資料などを可能な限り調査し、それによって以下のような情報が得られれば、その後の財産分与の協議を有利に進めることも可能になってきます。
〇相手が口座を保有する銀行名・支店名・同口座の残高
○相手が加入している保険の保険会社や解約返戻金の有無・金額
〇相手が保有している株式・投資信託等の名称・金額など
4.証拠の収集
配偶者の不貞や配偶者からのDV・暴言等を理由に、配偶者に離婚や慰謝料の支払いを求めたいと考えても、証拠がなければ、配偶者はこれらの事実を認めず、離婚や慰謝料支払いも拒否してくることが考えられます。
また、配偶者に対して訴訟等を提起しても、証拠がなければ裁判所で希望どおりの判決を得ることはできません。
これらの証拠は、別居してからでは取得できないものがほとんどです。例えば、別居後は配偶者からDVを受けることがなくなりますので、別居後に配偶者がDVを行う際の録音記録などの証拠を取得することはできなくなります。
そこで、離婚を考え出した場合には、離婚や慰謝料請求の協議あるいは訴訟を有利に進めることができるよう、別居前の段階で証拠をできる限り収集しておくことが非常に重要となります。
大阪和音法律事務所
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