離婚協議書は公正証書で書くべき?

離婚協議書は公正証書で書くべき?

(1)公正証書とは?

公正証書とは、法律の専門家である公証人が公証人法・民法などの法律にしたがって作成する公文書です。
そのため、高い証明力があるうえ、債務者が金銭債務の支払を怠ると、裁判所の判決などを待たないで直ちに強制執行手続き(裁判所が強制的に金銭等を回収する手続き)に移ることができます。すなわち、慰謝料や養育費の支払など金銭の支払いを約束した場合、もし支払いが滞っても債務者が支払をしないときには裁判を起して裁判所の判決等を得なければ強制執行をすることができませんが、公正証書を作成しておけば、すぐに強制的に回収する手続きに入ることができます。
 

(2)公正証書にはどのようなものがある?

 
公正証書には、以下のようなものがあります。
1. 離婚に伴う慰謝料・養育費の支払に関する公正証書(離婚給付契約公正証書)
2. 遺言公正証書
3. 任意後見契約公正証書
4. 金銭の貸借に関する契約
5. 土地・建物などの賃貸借に関する公正証書
6. 事実実験に関する公正証書

(3)公正証書にするメリット

では、協議離婚の際に公正証書は作成するべきでしょうか?
メリットを記載していきます。

①証拠としての価値が高い

例えば、お金を貸した、返したという争いにおいては、契約書や領収書が重要な証拠となります。
しかし、これらは自分で作れてしまうもので、後から偽造することも可能です。そのため、事実に基づくものかが問題となります。つまり、証拠としての価値が低いのです。
これに対して、証拠力が高いのが、役所などが作った公文書です。
公正証書は、公文書の一つとされています。
公正証書で養育費の支払い金額や支払日について書かれていれば、その内容が夫婦間で離婚前に約束していたものと判断されます。そのため、もし支払う側が約束した金額より安い養育費しか支払わなかったとしても(もしくは一切支払わなかったとしても)、約束した金額を支払いを回収することができます(もっとも、相手が全くの無収入など支払い余力がない場合は回収は困難です)。

②給料や預金を差し押さえる効力がある

執行力とは、裁判所を通じて強制的に給料や預金などを本人が受け取れないようにすること(差押え)です。
例えばお金を貸したけど返してくれない人がいたとします。口頭や手紙で請求しても全く効果がない場合も多いでしょう。お金を全く持たず支払できないのであればやむを得ませんが、支払うことができるのに意図的に支払いを拒むこともあります。
そのような場合に、公証役場で公正証書を作成して、手続をしておくと、すぐに差押えができます。
つまり、いちいち裁判などを起こす必要がありません。もし公正証書を作成していなければ、裁判所に訴訟を提起し、勝訴判決を得なければなりません。
公正証書には、裁判と同様の執行力があるのです。
これは、慰謝料や養育費の支払いの約束を相手が破った場合に、裁判費用と手間(時間)をかけずに金銭を回収することが可能ということです。
養育費などは毎月確実に得ておきたい金銭ですので、その金額や支払い期日について公正証書を作成しておくことは非常に重要でしょう。

③内容に誤りがない。確実性が高い

公正証書は、その内容を法律の専門家である公証人がチェックします。
そのため、夫婦のみで作る離婚協議書に比較して内容が誤る可能性が低く、確実性が高くなります。

(4)公正証書を作成するデメリット

次に公正証書作成のデメリットについてみていきましょう。

①作成に費用がかかる

 
公正証書作成の費用は、原則として、その目的価額により定められています(公証人手数料令9条)。
目的価額というのは、その行為によって得られる請求側の利益、相手からみれば、その行為により支払わなければならない金銭的負担のことをいいます。
 

②作成に時間がかかる

公正証書は、公証人がその内容に誤りがないかチェックしながら作成するため、作成に時間がかかります。
また、公正証書を作成するときは、夫婦が公証役場への出頭が必要となります。加えて、公証役場は平日の9時~17時までなので、この時間帯に合わせて行く必要があります。

まとめ

今回は離婚協議書の書き方について書いていきましたが、参考になりましたでしょうか。間違いのない離婚協議書を作成し、離婚後のトラブルを未然に回避して下さい。
 
  • 年間700件以上の相談実績 当事務所の解決事例 事例一覧はこちら
  • お客様の声~当事務所がいただいた感謝のお言葉~ 一覧はこちら
  • 離婚問題を弁護士に依頼するメリット

状況・段階別の離婚相談

  • 離婚を考えているが、どう切り出していいかわからない。
  • 離婚に向けて別居をお考えの方へ
  • 相手から離婚を切り出されたが、離婚したくない
  • 突然、相手が家を出ていってしまった(弁護士から手紙が届いた)
  • 離婚したいが、できれば相手と直接話をしたくない(話をするのが怖い…)
  • 相手に弁護士がついた
  • 相手と話し合いをしている時間がないので、話し合いを任せたい
  • パートナーのモラハラに苦しんでいる
  • パートナーのDVに苦しんでいる
  • 離婚調停を申立てたい方へ
  • 離婚調停を申立てられた方へ
  • 年間700件以上の相談実績 当事務所の解決事例 事例一覧はこちら
  • お客様の声~当事務所がいただいた感謝のお言葉~ 一覧はこちら
  • 離婚問題を弁護士に依頼するメリット

状況・段階別の離婚相談

  • 離婚を考えているが、どう切り出していいかわからない。
  • 離婚に向けて別居をお考えの方へ
  • 相手から離婚を切り出されたが、離婚したくない
  • 突然、相手が家を出ていってしまった(弁護士から手紙が届いた)
  • 離婚したいが、できれば相手と直接話をしたくない(話をするのが怖い…)
  • 相手に弁護士がついた
  • 相手と話し合いをしている時間がないので、話し合いを任せたい
  • パートナーのモラハラに苦しんでいる
  • パートナーのDVに苦しんでいる
  • 離婚調停を申立てたい方へ
  • 離婚調停を申立てられた方へ