協議離婚での弁護士の役割
そもそも、離婚の協議(調停を含みます)は、第三者によって公平な判断がされる「フェアな争い」ではなく、熾烈な駆け引きを伴う情報戦・心理戦といえます。調停においては、調停委員を味方につけるか否かで、交渉の有利・不利が左右されてしまう場面もあります。
そのため、当事務所では、離婚協議を始めるより前に、交渉の準備を十分に行うことをお勧めしています。いきなり、「離婚して!」と離婚届を夫に突き出してから準備を始めるのでは遅いといえます。
ただ、協議の準備といっても、具体的に「何を」「どのような順番で」「どの程度」行う必要があるかは、なかなか分からないと思います。その先の交渉の進み方をにらみつつ、慎重に事を運ばなければ、「時間をかけて準備を進めたはずなのに、全て意味がない事であった」ということも起こり得ます。そのため、離婚の協議・調停を考えた際は、できる限り早い段階から弁護士に相談し、そのアドバイスを受ける方がいいと思います。
離婚調停と弁護士の役割について
調停期日においては、申し立てた側と申し立てられた側が交互に調停室に入り、それぞれ調停委員に自分の言い分を伝えます。その言い分は調停委員を通じて相手方にも伝わります。1回の調停期日は2~3時間程度で終了します。
調停委員は、第三者の立場で当事者双方の話を聞き、両者が妥協可能な点を探して解決を図ろうとします。この調停委員をいかに「味方」に付けるかが、調停を進めるうえでの重要なポイントになります。具体的には、調停委員に理解してもらいやすいように、できるだけ内容を整理して話をすることや、常識に則った話をするよう心掛けることが大事です。
弁護士を依頼した場合は、弁護士が調停期日に同席し、本人とともに調停委員と話をします。その際、弁護士は、話を整理したり、本人の心情をうまく調停委員に「伝達」することができます。あるいは、弁護士が冷静に調停の流れ全体を俯瞰し、適切なタイミングで本人にブレーキをかけたり、逆に交渉のアクセルを踏むといった役割を果たすこともできます。
調停は、重度のプレッシャーを受ける場です。また、不安や怒り・悲しみといった、あらゆる負の感情に襲われることもよくあります。弁護士は、そのような時でも、依頼者にとって心強い伴走者となることができます。
また、調停が成立する場面においても、弁護士がいれば、合意事項に「「抜け」が生じないよう、専門的な目でチェックいたします。裁判所が作成する「調停条項」の表現も弁護士が細かくチェックし、依頼者に不利な状況が生じないよう検討します。それによって、依頼者は、調停の結果を安心して受け入れ、調停終了後に不安なく人生の次のステップに踏み出すことができるようになります。